俺だけレベルアップな件 144話 翻訳
事件のあった学校周辺には、記者や生徒の保護者、そして大勢の人を整理する警察やハンター協会の人間であふれかえっていた。
学校から出てきた水篠旬を目ざとく見つけた記者たちは一斉にカメラを彼に向けた。
しかし、ハンター協会の人間も普段はハイエナのような記者達も水篠旬のあまりの表情に凍り付く。
水篠旬は一言、水篠葵がどこにいるか聞き、そのまま立ち去った。
水篠葵はメディカルチェックを受けたが、掴まれた首と手首を除けば無傷だった。
担当したスタッフは身震いする。
水篠葵を助けたのは水篠旬であり、彼は彼女に大した怪我がないことを知っていた。
もし水篠旬があと少し遅く到着し、水篠葵の身に何かあった場合、彼は一体どうなっていたのか、考えるだけでも恐ろしい。
水篠旬は水篠葵が無事であることに安堵したが、電話を片手にひどく憂鬱になった。
今回の事件は被害があまりに多く報道も過熱する。
それに水篠葵が巻き込まれたことを母親が知れば平静ではいられない。
すぐに無事を伝える必要があるが、一体どのように説明すればよいのか。
すると背後から声がかかる。
ハンター協会の会長であった。
彼は水篠旬の母親のもとに協会の人間を派遣したこと、彼に対する感謝、そして水篠旬が影交換ですぐに移動できなかった後悔は不要であることを伝えた。
水篠旬とハンター協会会長は車で移動しながらいくつかの話をした。
最近、異常なほどゲートが発生していること、それに比例するかのようにハンターの適性を持つものが増加していること、各国が公式非公式問わず水篠旬に接触をはかろうとしていること。
ハンター協会会長が伝えたかったことを述べた。
ハンター協会は水篠旬に対してあらゆる便宜を図るので、彼にこのままこの国に残って欲しいと伝えた。
騎士団ギルドがボス部屋の前に到着した時、ベルはボス部屋に入りかけていた。
躊躇ない行動にメンバーたちは声をかけようとするも恐ろしさからできなかった。
すると背後から声がした。
騎士団ギルドのメンバーの脳裏には倒してこなかったモンスターの数々が浮かぶ。
全員が間一髪でボス部屋に飛び込み出入り口を魔法でふさぐ。
彼らは長くはもたない魔法とボス部屋のモンスターに焦る。
彼らはそれらのモンスターを一刻も早くベルが倒してくれるのを祈ることしかできない。
ベルとモンスターが会話する。
モンスターは影の軍隊を知っていた。
そして、王に報告せねばならないとも。
しかし、モンスターはベルに胸部を手刀で貫かれ、根源のペンダントも砕かれて消えてしまった。
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